(制作視点での記事)
二人のカーク | |
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制作順No. | 6149-05 |
本国初放映 | 1966年10月6日、第5話 |
脚本 | リチャード・マシソン |
監督 | レオ・ペン |
宇宙暦/西暦 | 1672.1/2266年 |
転送事故でカークは善人と悪人に分裂したが、どちらも単独では生きていけなかった。
エピソード概要[]
プローログ[]
惑星アルファ177の地上で行われていた地質調査中、フィッシャー地質技官は滑って転び、制服を不思議な磁性鉱石で汚した。落下で受けた傷を治療してもらうためにフィッシャーはエンタープライズへ転送して行った。転送装置の回路に電気過負荷を検出し、モンゴメリー・スコットは無事に転送してきたフィッシャーに浄化処理を受けさせ、医療室へ出頭させたが、転送装置はもう被害を受けていた。その不思議な磁性体は転送装置の機能を変えた。
転送装置の異常作用が分からないうちにカーク船長も地上から転送して来た。カークも無事に実体化したかに見えたが、実際はカークはまるでぬけがらのようになった。
第一幕[]
転送装置事故でカークは二人に分かれた。先に実体化した一人はカークの善い面を具体している。善のカークとスコットが転送室から出た直後、カークの悪の分身も転送台に現れた。
何かがあったことに誰かが気がつくまでしばらくかかった。その間、悪のカークは船内を歩き回っていた。マッコイからソーリアン・ブランデーを強迫的に要求したり、乗組員の数人に暴行を加えたり、ランド秘書に性的な暴行を働こうとしていた。遂にエンジンルームに追い詰められたが、スポックに捕まりながら、悪のカークは善のカークをフェイザーで撃とうとし、逸れた光線は転送装置と関連した機械に当たった。
第二幕[]
善のカークは悪のカークを見捨てるのを検討していた。その人が忌わしく、性質の一部という事実を認めたがらなかった。しかし、体力も決断力も弱くなるにつれ、悪のカークが具体していた面は人間性の不可欠な半分で、二人のどちらも単独では生きていけないと悟ってきた。
第三幕[]
その間、地上に残った上陸班は益々ひどくなってきた寒さに堪えるほかなかった。人員輸送に安全にするように転送装置を修理しながら、スコットは上陸班にヒーター等のサバイバル用品を転送して与えようとしていたが、転送してきた複製物は機能しなかった。
被害部分を最終的に突き止め、修理できたと信じたスコットとスポックは先に二匹に分かれた実験動物を転送装置で統合させてみた。再統合できたが、しかし、死体で実体化した。
第四幕[]
優柔不断を克服しようと努力していた善のカークは試みをやり通すとし、二人のカークは再統合に成功した。自身を取り戻したカークは上陸班の収容を命じ、すんでのところで凍死しそうになっていた乗組員を助けた。
日誌エントリ[]
- 『航星日誌、宇宙暦 1672.1。我々は惑星アルファー177で標本の採集に当たっていたが、この時転送装置の異常作用で私の複製が現れた。もう一人の私が密かに船内に忍び込んだのだ。』
- 『航星日誌、宇宙暦 1672.9。惑星の表面では既に温度が下がり始めた。しかし転送装置の異常作用で、上陸班員たちを収容できない。しかも私の複製が船内のどこかにいるのだ。』
- 『航星日誌、宇宙暦 1673.1。私に変化が起こった。複製が現れてから、意志の強さが失われていくような気がする。以前のように素早く正しい決断を下せないのだ。』
- 『航星日誌、宇宙暦 1673.5。転送装置は依然として使用不能である。私の悪の分身はベッドに横たわり、私自身の意志および決断力はますます鈍ってきた。一方惑星では、表面温度が氷点下 75度にまで下がった。』
- 『航星日誌、宇宙暦 1673.1、副船長スポック記入。カーク船長は依然として指揮を執っているが、意志の力は急激に失われていく。しかも転送装置は修理中で、上陸班に危機が迫ってきた。』
記憶に残る言葉[]
"君は俺が気付かないふりをできないほど奇麗だ。女として俺の手に余る。"
- - 悪のカーク、ランドに
"完全無欠ではない余裕はありません。そうではなければ、乗員たちは船長への信用を失って、船長はもう命令を下せません。"
(吹き替えは「もし部下に疑いの目で見られたらどうします。ランドを襲ったのは船長自身だと思われたらどうします。そうなれば信頼をなくして、もう命令を下せません。」
字幕は「弱さは見せられません。乗員の理想像でなければならない。さもなくば、部下の信用を失います。」)
- - スポック、善のカークに
"カーク船長は俺だ!...カーク船長はこの俺だ!!"
- - 悪のカーク
"優れた指導者の資質とは?船長の強さの源は負の面、即ち悪です。適切に抑制されるなら、悪は人間に強さを与える。悪の性質が取り除かれれば、指導力を失うのです。"
(吹き替えは「優れたリーダーとしての資格は一体何なのか?船長に決断力を与えていたのは否定的な面のようですね? …つまり悪の要素はもし正しく導かれコントロールされるなら、人間に強さを与えるんだ。だから悪の要素が逃げ出したあなたには、決断を下す力が消えてきた。」)
- - スポック、マッコイに
"転送装置がダメなら、長いロープで熱いコーヒーを下ろしてもらうわけにはいかないでしょうかね?"
"何とか考えよう。"
"コーヒーがなきゃ酒(熱燗)でもいいです。"
- - スールーと善のカーク
"スキーシーズンが、こっちで始まる前に何とか船に戻れる望みはありませんか?"
- - スールー
"野獣のように凶暴で冷酷な男だが、私には必要な人間なんだ。...私の一部だ、私の。"
- - 善のカーク、悪のカークについて
"私達もみんな君と同じだよ。誰にでも悪の面はあってそれは必要なんだ、それで生きていけるんだよ。醜いことはない、それが人間じゃないか。"
- - マッコイ、善のカークに
"君のその知性、理論はこれまたなくてはならないものだ。人間の本当の勇気は、恐らくそっから生まれてくるんじゃないかなあ?"
- - マッコイ、善のカークに
"死んでるよ。"
(マッコイの名言 "He's dead, Jim.")
- - マッコイ、実験動物について
"二つに分かれるのは私にとっては単なる理論じゃあない。私は半分地球人で、あとの半分はいわゆる宇宙人でありこの二つは常に争っている。これは偽りのない経験でそれを乗り越えて生きられるのは知性がこの二つに勝ち、強調させるからだ。"
- - スポック、カークの二人の統合を巡り
"人の半分は生きられるだろうか?"
(吹き替えは「このままではいずれ死ぬ。」字幕は「君も死ぬ。」)
- - 善のカーク、悪のカークに
"生きたい!"
- - 悪のカーク
"私は誰も見るべきではない自分の一部を見てしまった。"
(字幕は「禁断の分身を見てしまった。」吹き替えは「私も二度とない経験をさせてもらったよ。」)
- - 再統合に成功したカーク、マッコイに
"しかし、あの偽者は面白かったね。はっきりしていて。どうだ?"
- - スポック、ランドに
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