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「初めに、闇があった。まだ無のマトリックスは光を待っていた。そして、姿を現した一粒の光。その光は瞬く間に数を増やして、光の道筋を作り、混沌の中にサブルーチンが現れる。そして、意識をもったホログラムが生まれた。私は完全にプログラムされていたが、まだ無知であった。私に襲いかかる困難にも、私が秘めている可能性にも気づいていなかったのである。」
– ドクター 2378年夢みるホログラム

 ドクター(The Doctor)とは、連邦宇宙艦USSヴォイジャー(NCC-74656)に搭載された緊急用医療ホログラムEMH)であり、固有名を持たない彼は医者であることから便宜上ドクターと呼ばれた。

 EMHマーク1として開発された彼は宇宙艦隊としては初の緊急用医療ホログラムであり、ノヴァ級イントレピッド級ソヴェリン級といった当時の最新鋭艦に搭載された。彼の容姿は開発者であるルイス・ジマーマン博士をモデルとしており、その名前が示す通り医療上の緊急事態時に対応するように開発されたコンピュータ・プログラムである。EMHの詳細は緊急用医療ホログラムを参照。


医療部長・ドクターとしての経歴[]

初起動[]

 2371年、ドクターは、キャスリン・ジェインウェイ大佐USSヴォイジャー艦長としてユートピア・プラネシアで着任した際に一度、起動できるかテストされた。
 実質的に、周囲が知る限りでは、これがドクターの初起動であったがすぐにプログラムは終了された。(VOY: 過去に仕掛けられた罪
 しかし、彼が次に起動された時、ヴォイジャーはまさしく緊急事態の最中にあった。

緊急事態下での起動[]

 宇宙暦48315.6。ヴォイジャーがデルタ宇宙域に座礁した際、同艦の医療スタッフはその衝撃で全滅した。ドクターはハリー・キム少尉により、緊急時医療目的のコンピュータ・ホログラムとして起動され、負傷したクルーの治療に当たった。後年にドクターは、それを「修羅場だった」と語っている。(VOY: 遥かなる地球へ時空侵略戦争・前編
 また、この当時のクルーにとって、彼はコンピュータ・プログラム以上でも以下でもなく、新任の医療部長を宇宙艦隊に要請・着任させるまでのいわば便宜的な医者であった。だが、ヴォイジャーはアルファ宇宙域へと即座に帰還する方法を失ったため、宇宙艦隊と接触できなくなり、後任が見つかるまでの間、クルーは一切の医療をこのホログラム・ドクターに頼らざるを得なくなってしまった。(VOY: ブラックホールからの脱出
 だが、このドクターは、優秀な医者の模範であることを、クルーたちも徐々に認識していった。

正式な医療部長として認められるまで[]

 宇宙暦48532.4までに操舵主トム・パリス中尉がドクターの後釜として期待され、彼から医学を教わっていた。だが、ドクターはケスに対し、「パリスは、パイロットとしては優秀だが、医者として役に立たない」と苦言を漏らしていた。
 直後、ニーリックスヴィディアンによってを奪われた際、ドクターは代わりの臓器が見つかるまでの間、ホログラムの肺を作り、後にヴィディアンの医者の協力を得て、ケスの片肺をニーリックスに移植する手術を行なうまで延命させた。また、この事件を期にケスはドクターから医学を教わることになり、以後、彼を補佐する看護師の役割を果たすことになる。(VOY: 盗まれた臓器

 それでもクルーの彼に対する態度は「コンピュータ・プログラム」に対するものであり、彼は医療室を出たり、自分でプログラム終了することすらできず、また、そのつっけんどんな態度から、クルーの中にはウォルター・バクスター中尉など、ドクターのことを快く思わない者も少なくなかった。
 そんな彼の待遇を見かねたケスはジェインウェイに直談判し、ドクターにプログラム拡張の機会を与え、ドクターも自身がヴォイジャーの医療部長であることを自覚し、責務を負っていく覚悟を決めた。それが彼の成長の起点となっていき、後述する多数の拡張プログラムが徐々に加えられ、また、クルーとの付き合い方を勉強していくことで周囲からの反発も徐々に少なくなっていった。
 以後ドクターは自身の努力と友人たちの助力により、名実ともに「医療部長・ドクター」の地位を獲得していったのである。(VOY: ワームホールの崩壊
 ドクターは、2373年の半ばにモバイル・エミッターを手に入れるまで、医療室かホロデッキを出ることは叶わなかった。しかし、ドクターはクルーの一員としてヴォイジャーに貢献していく。
 例えば、ヴァノリが暮らしている異次元から帰還したハリー・キムを蘇生させたり、ベラナ・トレスから星雲で採集した物質についてアドバイスを求められた際、ヴォイジャーが突入した星雲が実は生命体だったという事実を突き止めたのもドクターの功績である。また、中には、セスカカーデシアのスパイである事実を証言したり、バイオ神経回路バクテリア汚染に晒されているのを突き止めたりなど、医学的見地から事件・事故の解明にも貢献した。(VOY: 来世への旅星雲生命体を救え裏切り者バイオ神経回路

基本/性格マトリックス[]

 外見マトリックスは、製作者のルイス・ジマーマンをモデルとし、性格マトリックスは彼の性格を元にレジナルド・バークレーがプログラミングしたものである。ドクターの偏屈で皮肉っぽい性格は、このふたりの変人によるためである。

 ドクターには500万以上の医療技術がプログラムされており、知識だけでなく手術をするための触覚サブルーチン、診察プロトコルなどが盛り込まれている。通常、これらの膨大な容量のプログラムをホログラムに移植すれば、ホロ・マトリックスが崩壊してしまうため、EMHはそうそう簡単に作ることはできない。

ドクターの名前[]

 初起動からほどなく、ケスに名前をつけることを勧められる。彼は医療データベースの中から候補をピックアップし、悩みつつ、最初に「シュヴァイツアー」を選ぶ。しかし、任務中に起こった悲しい出来事により、この名前はとりやめてしまった。(VOY: 英雄伝説

 それ以後、名前をつけるかつけないか延々と先延ばしとなった。

可能性の未来[]

 ヴォイジャーがデルタ宇宙域を23年間航行した未来では、初起動から33年後にようやく「ジョー」という名前をつけていた。(VOY: 道は星雲の彼方へ

 また可能性の未来において、「ヴァン・ゴッホ」という名前を名乗っていたこともある。(VOY: 9歳のケス

拡張プログラム[]

  • 歌スキル オペラを好んで歌う。鼻歌もよく歌う。
  • 絵画スキル
  • ホロ・ノベル制作
  • 皮肉を言う
  • 性行為
  • 空想をする
  • シャトルデルタ・フライヤーの操縦
  • 緊急用司令ホログラム 艦長代理不在時に、艦の操縦・管理、戦術、指揮能力が付加される。
  • モバイル・エミッタ 厳密に言えば拡張プログラムではないが、これにより医療室から出ることができる。

勲章[]

  • 宇宙艦隊褒賞勲章2376年
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